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ドナーチャイルドの親

さまざまな家族の形を紹介する新刊本:『We Are Family』

投稿者 Cryos | 3/10/2022
家族研究の専門家、Susan Golombok教授の著書『We Are Family』

今日、子どもたちはさまざまな家族形態の中で育っています。Susan Golombok氏は、ケンブリッジ大学の家族研究の教授であり、家族研究センターの所長でもあります。Golombok教授の新刊『We are Family』は、長年の研究成果と、新しい家族形態を持つ親子のエピソードで構成されています。 

このインタビューでは、『We are Family』を執筆した経緯、研究から得られた最も興味深い発見、特に子どもへの影響についてSusan Golombok教授に伺いました。

本書の概要

本書ではまず、1970年代から今日までの数十年間に、さまざまな新しい家族形態が出現してきた歴史的な背景を振り返っています。そして新たな家族形態によって提起された問題と、それに応えるために実施された研究の成果を紹介しています。

「私はチームとともに長年にわたり、新しい家族形態によって提起された問題に焦点を当ててきました。該当する家庭を繰り返し訪問し、徹底した調査を行いました。この本は、そうした研究結果をまとめたものですが、同時に、さまざまな形の家族を構成する方々やそのお子さんたちのストーリーや、彼らの意見や経験なども綴っています」とGolombok教授は説明します。

本書では各章で、以下のようなさまざまな家族形態を取り上げています。

本書にはドナーと代理出産の章もあり、彼らの見解を知ることもできます。

最終章では、Golombok教授が自身の研究の幅広い意味合いを説明し、子どもの成長と幸福にとって何が最も重要かについて、こうした家族から学ぶことができることを述べています。

2人の母親とドナーの助けにより授かった娘で構成される新しい形態の家族

「近年は、従来とまったく異なる家族形態が登場してきています。そこに注目することで、家族構成がこれまで考えられていたほど重要なものなのか、それとも家族との関係の質など家族生活に関わる他の側面の方が重要なのかという疑問に、概括的な結論を出すことができます」とGolombok教授は言います。

「この本は、新しい形態の家族の当事者だけでなく、家族全般あるいは新しい家族形態に関心があり、それが親子にとってどのような意味を持つのかを知りたい方にぜひ読んでいただきたいです」

『We are Family』執筆の動機

本書は、Susan Golombok教授が一般向けに書いた初めての本です。この研究には、誰もが知るべき重要な知見が含まれています。

「新しい形の家族に対する偏見や間違った思い込みがまだたくさんあることから、この本の執筆を考えるようになりました。新しい形の家族に生まれた子どもたちは何らかの形で悪い影響を受けるだろう、と多くの人が考えています。ですが、長年にわたる私たちの研究によって、それが事実ではないことが示されています」

Golombok教授は、十分な情報に基づいた議論を促すことも大切だと考えています。

「この研究は、新しい家族形態に関する政策や法律に影響を与えてきました。それは私たちの研究の非常に重要な側面です。政策は研究結果のみに基づくべきだとまでは言いませんが、人は往々にして間違った前提を持っているので、研究結果に基づく議論を行うべきだと考えます。何の根拠もないまま政策や法律を決定するのではなく、こうした家庭の子どもたちに実際に何が起こっているのか、しっかりとしたデータがあることが重要だと思います」

出版の決め手

Golombok教授へ研究資金を提供しているThe Wellcome Trustの出版社から、このような本を書くことを勧められたことが、本書出版の最後の一押しとなりました。Golombok教授は今では、学術的な文章よりもこうした本を書く方が性に合っていると感じているそうです。

「学術的な研究では個々人の経験について書くことはしないので、本書の執筆は非常に楽しいものでした。学者としては主に定量的なデータや統計を扱いますが、この本のように実際に誰かのエピソードを語ることは別の意味で刺激的です」

彼女は特に、経年的な研究の重要性を強調しています。

「私たちの研究では、赤ちゃんが生まれたときに家族との面談を始め、その後、子どもたちが10代後半になるまで数年おきにその家庭を訪問します。そうすることで、幼児期の経験がその後の発達にどのように影響するかを理解することができます。例えば、就学前に自分の出自について告知を受けた場合と、その後の人生で告げられた場合の子どもへの影響などを理解できます。学術研究では、調査の各段階で結果を発表することが多いので、どうしても断片的になります。ですから、本書執筆のためにいろいろな家族と会い、それぞれの家族の物語を詳細に語ってもらったことは、とても興味深いことでした。これまでになかったアプローチなので、これまでとは何か違う気付きもありました」

新しい家族形態への偏見に根拠はない

Golombok教授は、新しい家族形態についての懸念、特に子どもへの影響を不安視する声は常に存在してきたと言います。一般の人々は、家族構成が子どもにとって非常に重要であると考えがちです。そのため、血のつながった父母がいる従来の核家族との違いが大きいほど、子どもたちが問題を起こす可能性が高いのではないかと心配するのです。

Golombok教授によると、家族構成は私たちが思っているほど重要ではなく、子どもの幸福に関する懸念は杞憂であるといいます。

「子どもはあらゆる家族形態で問題なく成長します。本当に重要なのは、子どもと親の関係の質です。それに加えて、彼らの家族が地域社会でどれだけ受け入れられているかということも重要なのです」

森の中で遊ぶ二人の父親とその子ども

Golombok教授は、こうした新しい形の家族では、通常よりも良好な親子関係を築いていることが多いと述べています。それはおそらく、彼らが不妊の問題や、セクシュアリティや性自認に基づく偏見との戦いなど、親になるために困難を乗り越えてきたためであると教授は考えています。

もちろん、家族との良好な関係にもかかわらず、ドナー精子やドナー卵子によってこの世に生を受けた人々の中には、自分の出自についてもっと知りたいと思う人もいます。

「人によって大きな違いがありますが、関心のある人にとって、自分のドナーや異母兄弟についての情報を得られることは大切なことなのです」

問題は家族内ではなく、社会に存在する

残念ながら、新しい家族形態の子どもたち、特にLGBTの親を持つ子どもたちは、依然として偏見や差別にさらされることがあります。家族が社会的に完全には受け入れられていない、あるいは他の子どもたちから否定的な言葉を浴びるなど、学校で問題に直面する子どももいます。Golombok教授は、子どもたちを動揺させているのは家族に対する社会の反応であり、家族を批判する人々こそが、子どもたちの問題を引き起こしていると指摘します。

「子どもたちにとって問題なのは、家族内で起きることではなく、家族以外の人たちがどのように反応するかということなのです。私たちはこのことに目を向け、対策を講じるべきだと思います。子どもたちの幸せに影響を及ぼすのは家族の構成ではなく、家族に対する社会の不寛容なのです」

子どもたちと学校との良好なコミュニケーションが鍵

Golombok教授は、学校環境がとても重要だと考えています。学校で家族のことを説明する役割は子どもたちに任されていることが多く、何度も説明しなければならないことにうんざりしている子も多いのです。

新たな家族形態の子どもたちが、自分たちが受け入れられていると安心するためには、学校との良好なコミュニケーションが重要です

「子どもが学校で何か困っていないか気にかけてあげてください。学校に相談すれば、学校側が何かしてくれるかもしれません。学校の対応次第で、子どもたちは自分の家族が受け入れられていると感じることもあれば、家族を拒絶されたと感じることもあります。なかには、学校がこうした問題にうまく対処できないこともあります。学校へのサポートがあれば問題が解決できる場合もあるでしょう。ですから、学校とのコミュニケーションをとることはとても重要です」とGolombok教授は述べています。

家庭においても、子どもたちとコミュニケーションを図ることが重要です。Golombok教授は一般的に、幼い時期にその子がどのように生まれてきたのかを話すのが最善だと説明します。

「子どもが出自を知ったら、自分たちのことを以前ほど愛してくれなくなるのではないか、動揺するのではないか、と心配する親もいます。しかし、私たちの調査では、その逆の結果が出ています。親が子どもに話し始めるのが早ければ早いほどいいのです。子どもが小さいときに出自についてオープンに話すことができた親は、子どもが思春期に入っても良好な親子関係を築いていると分かりました」

Golombok教授によれば、自分がどのようにして生まれてきたのかを、子どもが理解できる方法で伝えることが大切です。そうすれば、子どもたちは抵抗を感じることなく質問をすることができます。教授の研究結果で、親の不安は杞憂であることが分かっています。就学前にオープンに真実を告知したところ、子どもたちは悩むのではなく、出自にあまり興味を示さないか、あるいはもっと知りたいと関心を持つことがわかりました。多くの親はこの話題を切り出すことを非常に懸念しますが、子どもたちは素直に受け入れてくれるのです。

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Susan Golombok氏の著書『We Are Family: What Really Matters for Parents and Children』は、 amazon.co.uk.などのサイトで購入できます。米国では『We Are Family: The Modern Transformation of Parents and Children』というタイトルで出版されています。